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ロボタクシーが「日常」となった1年を振り返る、ウェイモを追うテスラとアマゾン、中国勢も国外展開を加速
2025年はロボタクシーの実証の年から日常インフラへの入口へと局面が変わった節目であり、その主導権をめぐって米国勢と中国勢が質と量の両面で競り合う構図にある。
まずベンチマークとして位置付けられているのがウェイモだ。2025年に米国内5市場で一般向けサービスを本格化させ、年間乗車件数は1400万件を超えたとされる。ロサンゼルスやサンフランシスコではサービスエリアを拡大しつつ、高速道路を含むルートで有料のロボタクシー運行を開始するなど、運行環境の難度を徐々に引き上げている。完全自動運転での公道走行距離が累計2億マイル規模に達し、週あたり数十万件の乗車をこなす体制にあることから、単なる実験サービスではなく大都市の移動インフラに近づきつつあることがわかる。
異なるアプローチを取るのが、AI革命を掲げて既存車両にソフトウェアアップデートで自動運転機能を付与するテスラである。2025年12月には一部地域で完全無人のテスト走行開始が報じられたものの、多くの車両では依然として安全監視員の同乗が必要であり、ウェイモがすでに商用レベルで実現しているレベル4の完全自動運転とのギャップがなお大きいことが示唆されている。ブランド力と膨大な車両ベースを武器に一気に追い上げたいテスラに対し、規制や安全認証のプロセスがそのスピードにブレーキをかけているという緊張関係が浮かび上がる。
アマゾン傘下のZooxは、最初からロボタクシー専用に設計された車両を投入することで差別化を図っている。対面シートや広い室内空間など乗車体験の質に重心を置きつつ、2025年に本格稼働した専用工場によって年1万台規模の量産体制を整えつつある点は、ハードとソフト、フリート運営を垂直統合するアマゾンらしい戦略と評価できる。ただし、都市側のインフラや規制整備を前提とする専用車両モデルは、既存車両を前提とするテスラ方式に比べてスケールの立ち上がりが時間を要する可能性も内包しており、どちらの設計思想が収益性で優位に立つかはまだ見通せない。
米国勢に対し、量的拡大で肉薄しているのが百度のアポロ・ゴーを筆頭とする中国勢だ。武漢市全域をカバーする運行エリアで、無人運転による週間乗車件数が25万件を突破し、同時期のウェイモに肉薄する水準に達したとされる点は、中国側の物量戦の象徴である。アポロ・ゴーが2025年初めまでに累計1000台超の自動運転車両を展開し、累計1100万回以上の乗車を提供した実績をてこに、技術とデータの蓄積を加速させている。
中国勢は国内の量的支配を足掛かりに、ウーバーやリフトとの提携を通じて中東や欧州など国外展開を一気に加速させている。バイドゥが米ウーバーテクノロジーズおよびリフトと電撃的な提携を発表し、既存の配車プラットフォームに自社のロボタクシーを接続することで、ブランド立ち上げや顧客獲得のコストを抑えつつスケールを伸ばそうとしている。さらに、ドバイやアブダビで数百台規模の車両配備を計画し、東南アジアではシンガポールやマレーシアへの進出を検討するなど、米国以外の世界を先に押さえようとしていることが読み取れる。
こうした各社の動きを受け、ロンドンが米中プレーヤーに加え、ソフトバンクグループ出資のWave Technologiesなども参戦する自動運転サンドボックスとして描かれている点は示唆的だ。英ロンドンは規制機関との対話を前提にした実証フィールドを整備しており、ウェイモ、バイドゥ陣営、欧州スタートアップが同一都市で競合することで、技術・安全基準・運賃水準などが直接比較される舞台となりつつある。ここでの評価が、そのまま他都市や他地域の規制設計や事業者選定のベンチマークになる可能性が高い。
重要なのは、2026年以降の焦点が技術の証明から事業の持続性へと移ることである。各社が2027〜28年の黒字化達成を目標とする一方、中国の小馬智行(ポニー・エーアイ)など上場済みのロボタクシー企業がいまだ赤字であることが示され、スケールを拡大しても採算性の確保が容易ではない現実が浮き彫りにされている。莫大な開発投資と車両配備コストに対して、運賃収入やプラットフォーム手数料だけでどこまで回収できるのかという根源的な問いが、今後の評価軸の中心になる。
最終的な勝敗を決めるのは短期の技術デモではなく、中長期でどれだけ安定したキャッシュフローを生み出せるかという金融的な視点である。2026年は、各社が掲げる黒字化シナリオの現実味が試される決算の年であり、テクノロジーと規制、資本市場の評価が三つ巴で事業者の生死を分ける局面に入ったと位置付けるのが妥当である。

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