「5ちゃんねる」のドメイン「5ch.net」永久停止へ 動物虐待コンテンツ放置で
米レジストラEpikが、5ちゃんねる(5ch.net)と成人向け関連サイトBBSPINK(bbspink.com)のドメインを永久停止とし、他社への移管も認めないと通告した。Epikはその理由として、両サイト上で違法かつ有害な動物虐待コンテンツを確認したこと、およびドメイン所有者がコンテンツ管理責任を果たしていないことを挙げている。5ちゃんねるはすでに代替ドメイン5ch.ioへ切り替えて運営を継続しており、今回の措置はサイト閉鎖ではなく、ドメイン名の剥奪・凍結というレイヤーでの制裁である。
この問題を理解するには、まず法的背景を押さえる必要がある。米国ではAnimal Crush Video Prohibition Actおよび18 U.S.C. §48により、動物を踏みつぶす・焼く・溺れさせるなどの行為を描写したわいせつな動画の作成や流通が連邦犯罪として規定されている。Epikの本拠地が米国にある以上、こうした素材を放置したままドメインを維持することは、法的・レピュテーション両面でリスクと見なされ得る。
日本国内でも、5ちゃんねるの生き物苦手板を中心とした動物虐待コンテンツは長年問題視されてきた。2017年に猫の虐待動画投稿をめぐる事件が報じられると、同板の閉鎖や法規制強化を求める署名活動が行われ、2019年時点で3万8000筆超が集まっている。今回の措置に対してSNS上では、動物虐待コンテンツを長年放置してきた当然の帰結だという受け止めが広がっており、国内に蓄積されていた不信感と強く共鳴している。
運営者のジム・ワトキンス氏はXで、言論の自由の終わりだ、ICANNはこのような永久ロックを認めていないと強く反発し、Epik宛ての抗議メールをユーザーに呼びかけている。ただし日本側の分析では、今回の措置は政府による検閲ではなく、民間企業であるEpikが自社の利用規約と米国法に基づいて行ったアカウント・ドメイン停止であり、国家権力による言論弾圧とは性質が異なると整理されている。Epik自身もアビューズポリシーの中で、違法行為や規約違反コンテンツに対しては警告からアカウント停止まで含めた対応を取り得ると明示しており、商業レジストラがリスクとして看過しない範囲との線引きが前面に出た事案といえる。
なお、同氏が管理する8kun.netなど他のドメインについては、3月9日までに他レジストラへ移管するよう求めるにとどまっており、5ch.netとbbspink.comの2ドメインだけを特に重い違反として扱っている構図がある。
ドメインレベルでの介入という観点からも、この事案は前例として注目される。レジストリやレジストラはこれまで主にマルウェアやフィッシングなどDNS悪用への対応を中心としてきたが、近年は明白な違法・有害コンテンツについてドメイン停止を選択する事例も報告されている。.orgレジストリのPublic Interest Registryは、児童性的虐待コンテンツなど一部の極端なケースでコンテンツを理由としたドメイン停止を実施しつつ、その件数はごく少数にとどめており、最後の手段としての停止という慎重な姿勢が標準的とされている。その意味で、一般的な掲示板サービスのドメインが動物虐待コンテンツを理由に永久停止とされ移管も禁じられた今回のケースは、レジストラによるコンテンツ起点の強権発動として国際的にも注目される前例となり得る。
利用者視点では、5ちゃんねるは5ch.ioですでに運営継続中であり、専用ブラウザやブックマークの変更によって従来どおり閲覧できる状態にある。ただし1999年開設の2ちゃんねるを前身とし、日本のネット文化に長年影響を与えてきた5ch.netというドメインを失うことは、象徴的にも事業的にも大きな痛手である。違法・有害コンテンツをビジネスモデルのノイズとして黙認してきたプラットフォームが、レジストラやインフラ事業者という上位レイヤーから断罪され得る時代に入りつつあり、日本発のサービスであってもグローバルな規範と法環境の中で説明責任を免れないという現実を、今回の措置は可視化している。

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