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目次
3行まとめ
- ・金間教授の調査によると、若年層は努力よりも運や環境を重視する傾向が強く、努力への信頼感が著しく低下していることが判明しました。
- ・成果の予見が困難なビジネス環境や固定化した格差により、努力と報酬の結びつきが弱まった社会構造が背景にあります。
- ・報われない努力に見切りをつけ、自身で制御できる充実感を優先する彼らの態度は、現代における合理的な生存戦略といえます。
本文
Z世代に広がる頑張らないという価値観は、単なる怠惰や気力の喪失ではなく、努力という行為そのものへの信頼感の喪失に根ざしています。この実態を如実に示しているのが、金沢大学の金間大介教授が実施した若者の5年後の幸福度調査です。2025年2月に行われたウェブ調査において、成功要因が生まれもった才能や環境か、それとも自らの努力かを尋ねたところ、50代の平均値は1.2で努力志向が強かったのに対し、20代は-1でガチャ志向が強いという結果が出ました。世代間で明確に分かれた価値観の相違がここに表れています。
明確な数値として示されたガチャ志向とは、人の才能や環境はあらかじめ決まっており、いかに努力しても変わらないという諦念感を指します。自分ではコントロールできない状況で不平等が生じるというゲーム用語の転用ですが、この価値観の転換は、Z世代の性質の変化というより、社会状況そのものの変化を反映している点に注目すべきでしょう。金間氏の分析によれば、かつての世代が努力志向だった理由は、高度経済成長期やバブル期のように、努力と報酬の関係性が比較的明確で、得られる結果が見えていたからです。
結果が予見できた過去とは対照的に、現代のビジネス環境は想定顧客のニーズすら読めず、社会課題も深く入り組んでおり、どこから手を付けていいのかさえ見えない複雑性を帯びています。結果が可視化されていない環境では、人は本来、がんばることができない構造になっているのです。加えて、氷河期世代を経由した非正規雇用の拡大や所得格差の固定化といった経済的現実も重なり、親ガチャという言葉が流行しているように、生まれた家庭の状況が人生に与える影響は努力では埋められないレベルに達しています。
こうした構造的な現実を踏まえると、Z世代の頑張らないという態度は、むしろ理性的な判断の表れといえます。努力したら報われるという信念が喪失したとき、その行為自体が無意味に見えてくるのは自然なことだからです。上の世代から見ればやる気がないと映るかもしれませんが、社会が与える確度の低い承認よりも、自分たちが主体的に選べる範囲での充実を重視する彼らの態度は、将来への適応戦略として合理性を備えています。金間氏が指摘する努力に対する信頼感の揺らぎは、個人の問題ではなく、もはや個人の努力では変えられない社会構造への問いかけといえるでしょう。
元ネタ
Z世代に蔓延する「頑張らない」という価値観はどこから生まれるのか? 「生まれもった才能や環境」をガチャとして捉え「努力に対する信頼感」が揺らいでいる
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